結婚式を挙げていない、写真が少ない、親族に紹介していない、共通言語がない。これらはいずれも、単独では不許可の理由になりません。 ただし、婚姻の実態を示す資料が少ないことを意味するので、代わりの資料で補う必要があります。複数が重なると、立証が薄くなり、不許可になりやすくなります。 この記事では、4つの要素それぞれについて、審査で見られる理由と、代わりに示す資料を解説します。
結婚式を挙げていない
審査で見られる理由
結婚式は、二人の婚姻を親族や友人が認めている場面として、婚姻の実態を示す資料になります。結婚式を挙げていないこと自体は要件に関係ありませんが、「周囲に知られていない婚姻ではないか」という確認につながります。
結婚式を挙げない夫婦は多く、費用や時期の都合、文化的な理由など、挙げない理由は様々です。入管もそれを理解しているので、理由を書き、代わりの資料を出せば問題ありません。
代わりに示す資料
- 婚姻届を提出した日の写真(役場の前、記念の食事など)
- 双方の親族との食事会や顔合わせの写真
- 入籍の報告をしたときの親族や友人とのやり取り
- 婚姻の記念に撮った写真(フォトスタジオ、記念日の写真)
- 結婚指輪の購入記録
結婚式を挙げない理由(費用を貯めてから挙げる予定、親族の都合、相手国で挙げる予定など)を質問書に一文書きます。将来の予定があれば、それも書きます。
写真が少ない
審査で見られる理由
写真は、交際と生活の実態を時系列で示す資料です。少ないと、交際の期間や内容を裏づけられず、質問書の記述だけが残ります。
写真を撮る習慣がない夫婦、遠距離で会う機会が少なかった夫婦、写真を消してしまった夫婦など、少ない理由は様々です。
代わりに示す資料
- 連絡の記録(メッセージ、通話履歴)で交際の継続を示す
- 渡航記録や交通機関の利用記録で会った事実を示す
- 親族や友人の陳述書で、二人の関係を知る第三者の証言を示す
- 結婚後の生活の資料(同居の住民票、賃貸借契約書、生活費の分担)で現在の実態を示す
- 申請前に撮れる写真を撮る(親族との食事、日常の生活、近所の風景)
写真が少ない理由を質問書や説明文に書きます。「写真を撮る習慣がなかった」も理由として書いて問題ありません。少ない理由を書かず、他人の写真や合成写真を出すことは虚偽申請になります。
親族に紹介していない
審査で見られる理由
双方の親族が婚姻を知り、認めていることは、婚姻の実態を示す要素です。親族に紹介していないと、「隠れた婚姻ではないか」「在留資格のための婚姻ではないか」という確認につながります。
紹介していない理由として多いのは、親族が遠方や海外にいる、親族が反対している、親族と疎遠である、紹介の機会がまだなかった、といった事情です。
代わりに示す資料
- ビデオ通話で親族と話した記録(画面の写真、通話の日時)
- 親族への報告のやり取り(メッセージ、手紙)
- 親族からの贈り物や祝いの記録
- 親族に会う予定があれば、その予定(渡航の予約など)
- 友人や職場の同僚など、親族以外の第三者の陳述書
親族が反対している場合
親族が婚姻に反対している場合、反対の事実と理由を質問書に書きます。隠して「親族に紹介した」と書き、入管が親族に確認して食い違うと、虚偽になります。
反対されていても、婚姻の実態があれば許可は出ます。親族の反対の事情を説明したうえで、友人や職場の同僚の陳述書、結婚後の生活の実態で補います。親族と和解の見込みがあれば、それも書きます。
親族と疎遠な場合
親族と疎遠で紹介できない事情(親族がいない、絶縁している、連絡が取れない)も、そのまま書きます。疎遠であること自体は、婚姻の実態と関係ありません。
共通言語がない
審査で見られる理由
夫婦が意思疎通できることは、婚姻の実態の前提です。共通言語がないと、「どうやって関係を築いたのか」「夫婦として生活できるのか」という確認につながります。
翻訳アプリの普及で、共通言語がなくても交際や生活は可能になっていますが、入管は意思疎通の方法を確認します。
示す内容
- 日常的にどうやって意思疎通しているか(翻訳アプリの名称、簡単な日本語と英語の組み合わせなど)
- 会ったときはどうやって話したか(通訳、翻訳アプリ、親族の通訳)
- 語学の学習状況(日本語学校、オンライン教材、教科書、学習時間の記録)
- 日本語能力試験の受験予定や合格証
- 翻訳アプリを使ったやり取りの記録(画面に翻訳が表示されているもの)
一方が相手の言語を学んでいる記録は、意思疎通を改善しようとしていることを示し、審査官の懸念を減らします。来日後の日本語学習の計画も書きます。
共通言語がないことを隠して「英語で会話している」と書き、質問書の内容や入管での対応で食い違うと、虚偽になります。
4つの要素が重なる場合
結婚式なし、写真が少ない、親族に紹介していない、共通言語がない、のうち複数が重なると、婚姻の実態を示す資料が大きく不足します。この状態で申請すると、不許可になりやすくなります。
対策は、申請を急がず、立証を厚くしてから申請することです。
- 親族との食事会を開き、写真を撮る
- 双方の親族にビデオ通話で紹介する
- 日本語または相手の言語の学習を始め、記録を残す
- 同居を始め、生活の実態を作る
- 友人や同僚に陳述書を依頼する
数か月かけて資料を積み上げてから申請するほうが、不許可になって再申請するより、結果的に早く許可に至ります。
質問書での書き方
これらの要素がある場合、質問書の該当欄に理由を書きます。
- 結婚式:「挙げていない。費用を貯めて来年に挙げる予定」
- 親族への紹介:「日本人側の親は紹介済み。外国人側の親は本国にいるため、ビデオ通話で紹介した」
- 共通言語:「日本語と英語を混ぜて会話し、複雑な内容は翻訳アプリを使う。外国人側は日本語学校に週2回通っている」
理由を書かずに空欄にしたり、「なし」とだけ書いたりすると、審査官は最も不利な推測をします。
よくある質問
Q. 結婚式を挙げていません。不利になりますか。
A. 不利にはなりません。挙げていない理由を書き、婚姻届を出した日の写真や親族との食事会の写真で代わりに示します。
Q. 写真が数枚しかありません。
A. 少ない理由を書き、連絡記録、渡航記録、陳述書、結婚後の生活の資料で補います。申請前に撮れる写真を撮っておくことも勧めます。
Q. 親が結婚に反対しています。
A. 反対の事実と理由を書きます。友人や同僚の陳述書、結婚後の生活の実態で補います。隠して「紹介した」と書くほうが問題になります。
Q. 翻訳アプリでしか会話できません。
A. 意思疎通の方法と語学の学習状況を説明します。相手の言語を学んでいる記録があれば添えます。
Q. 4つとも当てはまります。
A. 婚姻の実態を示す資料が大きく不足している状態です。申請を急がず、親族への紹介、語学学習、同居の実態など、資料を積み上げてから申請することを勧めます。
Q. 相手の親族が海外にいて会えません。
A. ビデオ通話で紹介した記録、親族への報告のやり取り、親族からの祝いの記録で示します。
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