日本人配偶者が個人事業主や会社経営者でも、配偶者ビザの審査に不利はありません。ただし、会社員のように在職証明書と源泉徴収票で収入を示せないので、証明の方法が変わります。 個人事業主は確定申告書と課税証明書、会社経営者は役員報酬の資料と会社の決算書で示します。経費計上で所得が低く見える場合は、その説明が必要です。 この記事では、事業形態別の証明方法と、所得が低い・赤字の場合の対応を解説します。
入管が見る収入の額
入管は、生計維持者の収入を住民税の課税証明書で確認します。課税証明書に記載されるのは、収入(売上)ではなく、所得(売上から経費を引いた額)です。
個人事業主は、節税のために経費を多く計上し、所得を低く抑えていることが多くあります。売上が1,000万円あっても、所得が150万円と記載されていれば、入管は150万円で判断します。この点が、個人事業主の申請で最も注意が必要な点です。
個人事業主・フリーランスの証明方法
基本の書類
- 住民税の課税証明書・納税証明書(直近年度)
- 確定申告書の控え(税務署の受付印またはe-Taxの受信通知付き、直近1〜2年分)
- 青色申告決算書または収支内訳書
- 開業届の控え
- 事業の実態を示す資料(契約書、請求書、通帳の入金記録、事業用ウェブサイトなど)
確定申告書の控えは、受付印や受信通知がないものは証明になりません。控えを紛失した場合は、税務署で閲覧または開示請求をします。
所得が低い場合の対応
経費計上で所得が低い場合、次の方法で生活の見込みを補います。
- 売上と経費の内訳を説明し、生活費に充てられる実質的な額を示す(減価償却費など、現金支出を伴わない経費を説明する)
- 預貯金の残高証明書を添える
- 事業用の資産(車両、設備、不動産)を示す
- 直近の売上が伸びている場合は、今年の売上の記録(請求書、入金記録)を示す
- 外国人配偶者の収入や親族の支援を合わせる
「所得は低いが、生活はできている」ことを、説明文と資料で示します。所得が低いまま説明がないと、生活の見込みがないと判断されます。
赤字決算の場合
赤字の年がある場合、赤字の理由(開業初年度の設備投資、一時的な売上減少など)と、現在の事業の状況を説明します。赤字が続いている場合は、預貯金や他の収入で生活できることを示します。
赤字決算で預貯金もない場合は、立証が難しくなります。申請の時期を調整し、黒字の年度の課税証明書が出てから申請することも検討します。
開業直後で確定申告をしていない場合
開業届の控え、事業の契約書、売上の記録(請求書、入金記録)、事業計画を示します。前職の課税証明書と退職時の資料で、開業前の収入も示します。開業直後の収入は不安定と見られるので、預貯金で補います。
会社経営者の証明方法
基本の書類
- 住民税の課税証明書・納税証明書(役員報酬に基づく所得が記載される)
- 会社の登記事項証明書
- 会社の決算書(直近1〜2期)
- 役員報酬の額が分かる資料(株主総会議事録、役員報酬の支払記録)
- 会社の事業の実態を示す資料(ウェブサイト、契約書、事務所の賃貸借契約書)
役員報酬は課税証明書に反映されるので、報酬が十分であれば会社員と同じように示せます。
役員報酬が低い場合
節税のために役員報酬を低く設定している場合、会社の利益や内部留保、個人の預貯金で補います。会社の決算書で利益が出ていること、会社に資産があることを示し、必要に応じて役員報酬を増額できる旨を説明します。
会社が赤字の場合
会社の赤字と個人の収入は別です。役員報酬が支払われていれば、個人の所得として評価されます。ただし、会社の赤字が続いて役員報酬の支払いが滞っている場合は、会社の存続が疑われるので、事業の状況を説明します。
外国人配偶者が事業を行う場合
外国人配偶者が日本で個人事業主や会社経営者として収入を得ている場合も、同じ方法で示します。配偶者ビザには就労制限がないので、来日後に事業を始めることもできます。
認定申請の段階では、外国人配偶者の本国での事業収入は、来日後の生活の見込みの補強資料として添えられます。
税金・社会保険の納付
個人事業主・会社経営者は、所得税、住民税、消費税、国民年金、国民健康保険(または社会保険)を自分で納付します。未納があると審査に影響するので、納税証明書で納付状況を確認します。
確定申告をしていない年がある場合は、申請前に申告し、納税します。無申告のまま申請すると、所得が証明できないだけでなく、納税義務の不履行として不利になります。
必要書類の整理
|
事業形態 |
収入を示す書類 |
事業の実態を示す書類 |
|---|---|---|
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個人事業主・フリーランス |
課税証明書、確定申告書の控え、青色申告決算書 |
開業届、契約書、請求書、入金記録 |
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会社経営者 |
課税証明書、役員報酬の資料 |
登記事項証明書、決算書、事業の資料 |
|
開業直後 |
前職の課税証明書、売上の記録 |
開業届、契約書、事業計画 |
いずれの場合も、所得が低い場合は預貯金の残高証明書を添えます。
よくある質問
Q. 個人事業主は配偶者ビザで不利ですか。
A. 不利ではありません。課税証明書と確定申告書で収入を示します。経費計上で所得が低く見える場合は、説明と預貯金で補います。
Q. 売上は多いですが、所得は少ないです。
A. 入管は所得で判断します。売上と経費の内訳を説明し、現金支出を伴わない経費や、生活に充てられる実質的な額を示します。
Q. 去年は赤字でした。
A. 赤字の理由と現在の事業の状況を説明し、預貯金や他の収入で生活できることを示します。黒字の年度を待って申請する方法もあります。
Q. 確定申告書の控えをなくしました。
A. 税務署で閲覧または開示請求ができます。受付印のない控えは証明になりません。
Q. 役員報酬を低くしています。
A. 会社の利益と資産、個人の預貯金で補います。役員報酬を増額できる旨を説明することも有効です。
Q. 確定申告をしていない年があります。
A. 申請前に申告と納税を済ませます。無申告のままでは所得が証明できず、納税義務の不履行として不利になります。
個人事業主・経営者の配偶者ビザは当法人にご相談ください
当法人は、日本人配偶者が個人事業主や会社経営者である配偶者ビザ申請を多く扱っています。確定申告書と決算書の読み方、所得が低い場合の説明の組み立て、預貯金や事業資産による補強まで対応します。収入の証明方法に不安がある方は、無料相談でお聞かせください。
