配偶者ビザの申請で、理由書は必須書類ではありません。入管が定める質問書に交際経緯を書く欄があるためです。 ただし、質問書の欄に収まらない経緯がある、年齢差や交際期間などの不安要素を説明したい、不許可後に再申請する、といった場合は、理由書を添えることで審査官に事情を伝えられます。 この記事では、理由書が必要なケース、構成例、各段落の書き方、書いてはいけないことを解説します。
質問書と理由書の役割
質問書は入管の様式で、出会いの経緯、交際の内容、結婚の決め手、夫婦の言語、親族の状況などを記入します。配偶者ビザの申請では必ず提出します。
理由書は任意の書面で、質問書に書ききれない事情や、審査官の疑問に先回りして答える説明を書きます。「結婚経緯説明書」「申請理由書」「陳述書」など、名称は自由です。
質問書の各欄を簡潔に埋め、詳細は理由書に書くという分担が一般的です。質問書に「別紙のとおり」と書いて理由書を参照させることもできます。
理由書が必要なケース
- 出会いから結婚までの経緯が長く、質問書の欄に収まらない
- 年齢差が大きい、交際期間が短い、離婚歴がある、会った回数が少ないなど、審査官が疑問を持ちやすい要素がある
- 収入が低い、無職、課税証明書が出ないなど、生活の見込みを補足する必要がある
- 短期滞在からの変更など、やむを得ない事情を説明する必要がある
- 過去の在留歴(オーバーステイ、資格外活動)について説明する必要がある
- 不許可後の再申請で、前回からの変更点を示す
不安要素がなく、質問書で十分に説明できる場合は、理由書は不要です。
構成例
理由書は、次の構成で書くと、審査官が流れを追いやすくなります。
- 表題と宛先(「理由書」「○○出入国在留管理局長 殿」)
- 申請人と日本人配偶者の氏名、申請の種類
- 出会いの経緯
- 交際の経過
- 結婚を決めた経緯
- 現在の生活と今後の予定
- 不安要素についての説明(該当する場合)
- 結び
- 作成日、作成者の氏名と署名
作成者は日本人配偶者が一般的ですが、外国人配偶者が書く場合や、夫婦連名で書く場合もあります。外国人配偶者が外国語で書く場合は、日本語訳を付けます。
各段落の書き方
出会いの経緯
いつ、どこで、どのように知り合ったかを書きます。紹介者がいる場合は氏名と関係、アプリやSNSの場合はその名称を書きます。「2023年4月、友人の○○の紹介で、東京都内の食事会で知り合った」のように、日付、場所、状況を具体的に書きます。
交際の経過
交際が始まった時期と、その後の交際の内容を時系列で書きます。会った回数と時期、連絡の頻度、相手の親族に会った時期、旅行や記念日の出来事などです。添付する写真や連絡記録と対応させ、「2023年8月に○○へ旅行した(写真3)」のように資料番号を引用すると、審査官が照合しやすくなります。
遠距離の場合は、会った時期と渡航の記録を一致させます。
結婚を決めた経緯
いつ、どちらから結婚を申し出たか、結婚を決めた理由、親族への報告と反応を書きます。結婚を急いだ事情(在留期限、妊娠、遠距離)があれば、ここで書きます。
現在の生活と今後の予定
同居の状況、生活費の分担、仕事、今後の生活設計(住居、就労、子の予定など)を書きます。認定申請(海外から呼ぶ)の場合は、来日後の生活設計を書きます。
不安要素についての説明
年齢差、交際期間、離婚歴、収入、過去の在留歴など、審査官が疑問を持ちやすい点について、事実と事情を書きます。隠すより、先に説明するほうが審査には通ります。
書き方の例は、各ケース別の記事で解説しています。
結び
「以上のとおり、私たちの婚姻は真実のものであり、日本で夫婦として生活していく意思があります。ご審査のほどよろしくお願いいたします」といった一文で結びます。長くする必要はありません。
書いてはいけないこと
事実と異なること
理由書の内容は、質問書、写真、連絡記録、渡航歴、入管が保有する過去の記録と照合されます。事実と異なる記載が見つかると、虚偽申請として不許可になり、以後の申請にも影響します。美化や省略ではなく、事実を書きます。
他の資料と食い違うこと
理由書の日付や経緯が、質問書や写真の日付と食い違うと、どちらかが虚偽と見られます。書き終えたら、すべての資料と照合します。
感情的な訴え
「どうか許可してください」「許可されなければ家族が壊れます」といった訴えは、審査の判断材料になりません。事実と事情を淡々と書きます。
例文の丸写し
ウェブ上の例文をそのまま使うと、自分たちの事実と合わない記載が混ざります。審査官は多数の理由書を読んでいるので、定型文はすぐに分かります。構成だけ参考にし、内容は自分たちの事実で書きます。
法律論や制度の解説
「入管法第○条により」といった記載は不要です。審査官は制度を知っています。書くべきは、夫婦の事実です。
文字数と体裁
文字数に決まりはありません。A4で1〜3枚程度が目安です。不安要素が多い場合は3〜4枚になることもありますが、長ければよいわけではなく、必要な事実が過不足なく書かれていることが重要です。
体裁は、A4縦、横書き、読みやすい文字サイズ(10.5〜11ポイント)で、段落ごとに見出しを付けます。手書きでも構いませんが、パソコンで作成したほうが読みやすく、修正もしやすいです。
末尾に作成日と作成者の氏名を記載し、署名または押印します。
不許可後の再申請の理由書
再申請の理由書では、前回の不許可の理由と、それに対してどう対応したかを明示します。「前回の申請では交際経緯の説明が不十分とのことでしたので、今回は会った記録と連絡の記録を追加し、経緯を詳しく記載しました」のように、変更点を示します。前回の申請を知らないふりをして書くと、入管の記録と食い違います。
よくある質問
Q. 理由書は必ず必要ですか。
A. 必須ではありません。質問書で十分に説明できる場合は不要です。不安要素がある場合や、質問書に書ききれない場合に添えます。
Q. 誰が書きますか。
A. 日本人配偶者が書くのが一般的です。外国人配偶者が書く場合は日本語訳を付けます。夫婦連名でも構いません。
Q. 何枚くらい書けばよいですか。
A. A4で1〜3枚程度が目安です。必要な事実が過不足なく書かれていることが重要で、長さは問われません。
Q. 例文を参考にしてよいですか。
A. 構成の参考にするのは構いませんが、内容は自分たちの事実で書きます。丸写しは審査官に分かります。
Q. 年齢差や交際期間の短さは書いたほうがよいですか。
A. 書いたほうがよいです。審査官が疑問を持つ点を先に説明することで、追加資料の要求や不許可を避けられます。
Q. 理由書と質問書の内容が重複してもよいですか。
A. 構いません。質問書を簡潔に、理由書で詳しく、という分担にします。内容が食い違わないように照合します。
理由書の作成は当法人にご相談ください
当法人は、配偶者ビザの理由書の作成と添削を多く扱っています。夫婦からの聞き取りをもとに、事実を時系列で整理し、不安要素への説明を組み込んだ理由書を作成します。自分で書いた理由書の確認もできますので、無料相談でお聞かせください。
