日本人の配偶者は、帰化の居住要件が緩和されています。通常は引き続き5年以上の居住が必要ですが、日本人の配偶者は引き続き3年以上の居住、または婚姻3年以上で1年以上の居住があれば申請できます。 ただし、2026年4月1日から法務省は帰化審査の運用を見直し、一般の帰化では「日本社会に融和していること」の判断として原則10年以上の在留を求め、納税・社会保険料の確認期間も延長しました。日本人の配偶者には法律上の緩和が引き続き適用されますが、個別の事情に応じた判断になるので、以前より丁寧な準備が必要です。 この記事では、日本人の配偶者の帰化要件、2026年4月の運用見直しの影響、永住との比較、国籍の扱い、申請の流れを解説します。
帰化とは
帰化は、外国人が日本国籍を取得する手続きです。法務局に申請し、法務大臣が許可します。帰化すると日本人になるので、在留資格は不要になり、選挙権や公務員への就職など、日本人と同じ権利を持ちます。
永住は、外国籍のまま日本に期限なく在留できる在留資格です。国籍は本国のままです。
日本人の配偶者の帰化要件
帰化の一般的な要件は、国籍法に定められています。日本人の配偶者は、居住要件と能力要件が緩和されます(簡易帰化)。
居住要件(緩和)
次のいずれかを満たせば申請できます。
- 引き続き3年以上日本に住所を有し、現在も日本に住所がある
- 婚姻の日から3年を経過し、引き続き1年以上日本に住所がある
通常の帰化の「引き続き5年以上」より短くなっています。婚姻から3年経っていれば、来日後1年で申請できます。海外で婚姻生活を送っていた期間も、婚姻期間に含まれます。
2026年4月1日からの審査運用の見直し
法務省は2026年4月1日から、帰化審査の運用を見直しました。法律改正ではなく、法務大臣の裁量による運用の変更です。
- 一般の帰化(国籍法5条)では、国籍法上の住所条件(5年以上)に加え、「日本社会に融和していること」の判断として、原則10年以上の在留を求める
- 素行条件と生計条件の確認で、税金と社会保険料の納付状況を見る期間を延長する
日本人の配偶者の簡易帰化(国籍法7条)は、法律で住所条件が緩和されているので、原則10年の運用がそのまま当てはまるものではなく、個別の事情に応じて判断されます。ただし、納税・社会保険料の確認期間の延長は配偶者にも及ぶので、過去数年分の納付状況を整えてから申請します。
見直し前に申請した案件にも新しい運用が適用されるとの報道があるので、申請中の方は法務局に確認します。
能力要件(緩和)
通常の帰化では18歳以上であることが必要ですが、日本人の配偶者は年齢要件が免除されます。
素行要件
素行が善良であることが必要です。税金、年金、健康保険の納付状況、交通違反や刑事処分の有無が確認されます。過去5年程度の交通違反の記録も見られます。2026年4月の運用見直しで、納税と社会保険料の確認期間が延長されたので、直近数年分の納付が期限内に行われていることが重要になりました。
生計要件
生計を営むことができることが必要です。本人または配偶者の収入で生活が維持できていれば足ります。日本人配偶者の収入で生活している場合は、その収入で判断されます。
国籍要件(重国籍の防止)
帰化によって本国の国籍を失うことが必要です。本国法で、他国の国籍を取得すると自動的に国籍を失う国(韓国、中国、ベトナムなど)はこの要件を満たします。国籍離脱の手続きが必要な国では、帰化許可後に本国で国籍離脱の手続きをします。
本国法で国籍離脱が認められていない国の場合、個別の判断になります。
思想要件
日本国憲法を破壊する思想や活動がないことが必要です。
日本語能力
国籍法に明文の規定はありませんが、実務上、日常生活に支障のない日本語能力(小学校低学年程度の読み書き)が求められます。法務局での面談で確認され、簡単な筆記テストが行われることがあります。
永住との比較
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項目 |
帰化 |
永住 |
|---|---|---|
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国籍 |
日本国籍を取得。本国の国籍は原則として失う |
本国の国籍のまま |
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申請先 |
法務局 |
入管 |
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居住要件(日本人の配偶者) |
引き続き3年以上、または婚姻3年以上かつ1年以上(2026年4月から個別判断が丁寧に) |
2027年3月31日までの申請は婚姻3年以上かつ在留1年以上。2027年4月1日以降は婚姻5年以上かつ在留3年以上 |
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現在の在留期間の要件 |
なし |
最長の在留期間(5年)。2027年3月31日までの申請は3年で可 |
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手数料 |
無料 |
200,000円(2026年10月1日から) |
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審査期間 |
8か月〜1年以上 |
4か月〜1年程度 |
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日本語能力 |
求められる(日常生活に支障のない会話と読み書き) |
2027年4月1日以降の申請はB1相当以上が考慮される |
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選挙権・公務員 |
あり |
なし |
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離婚の影響 |
なし |
なし(永住者のまま) |
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取得後の取消し |
なし |
故意の税・社会保険料不払いなどで取消しの可能性(2027年4月1日から運用) |
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本国への帰国 |
外国人として入国(本国の査証が必要な場合がある) |
本国人として帰国 |
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日本のパスポート |
取得できる |
取得できない |
帰化が向いている人
- 日本に永住し、本国に戻る予定がない
- 本国の国籍にこだわりがない
- 選挙権や公務員への就職を希望する
- 日本のパスポートで渡航したい
永住が向いている人
- 本国の国籍を維持したい(本国での相続、財産、家族との関係)
- 将来、本国に戻る可能性がある
- 日本語の読み書きに不安がある
- 本国が国籍離脱を認めていない
子がいる場合、親が帰化しても子の国籍は自動的には変わりません。子も帰化させるかは別途判断します。
2026年の改定で永住の要件が引き上げられ、手数料も20万円になったことから、日本人の配偶者で本国の国籍にこだわりがない方は、帰化を選ぶ方が増えると見込まれます。一方、帰化も2026年4月から審査運用が厳格化されているので、どちらも納税と社会保険料の納付状況を整えることが前提です。
国籍を失うことの影響
帰化すると、本国の国籍を失うことで、次の影響があります。
- 本国への入国に査証が必要になる場合がある(本国の査証免除の扱いによる)
- 本国での不動産の所有や相続に制限が生じる国がある
- 本国の年金や社会保障の受給に影響する場合がある
- 本国の兵役義務がある国では、国籍離脱の手続きに兵役の扱いが関わる
本国での財産や家族との関係を考慮して、帰化するかを判断します。
申請の流れ
- 法務局(本籍地を管轄する法務局または地方法務局)に事前相談の予約をする
- 事前相談で、要件の確認と必要書類の案内を受ける
- 必要書類を収集する(本国の出生証明書、婚姻証明書、親族関係の書類、日本の住民票、課税証明書、納税証明書、在職証明書など)
- 帰化許可申請書、履歴書、動機書、生計の概要などを作成する
- 法務局に申請する(本人が出頭)
- 面談(申請から数か月後)
- 審査(8か月〜1年以上)
- 許可されれば官報に告示され、法務局で許可の通知を受ける
- 市区町村役場に帰化届を提出し、戸籍が作られる
- 本国の国籍離脱の手続き(必要な国の場合)、在留カードの返納
必要書類は、本国の書類(出生証明書、婚姻証明書、父母の婚姻証明書など)を本国から取り寄せ、翻訳を付けます。国によって必要な書類が異なるので、事前相談で確認します。
申請中の注意
帰化の審査中も、配偶者ビザの更新時期が来たら更新申請が必要です。審査中に転職、転居、出産などの変化があった場合は、法務局に届け出ます。交通違反も届け出の対象です。
審査中に離婚した場合、日本人の配偶者としての簡易帰化の要件を満たさなくなるので、審査に影響します。
よくある質問
Q. 日本人と結婚しています。いつから帰化を申請できますか。
A. 引き続き3年以上日本に住んでいるか、婚姻から3年経過し引き続き1年以上日本に住んでいれば申請できます。2026年4月からの運用見直しで一般の帰化は原則10年の在留が求められますが、日本人の配偶者は法律上の緩和が引き続き適用され、個別に判断されます。
Q. 2026年4月の厳格化で、配偶者の帰化はどう変わりましたか。
A. 法律上の居住要件は変わりませんが、納税・社会保険料の確認期間が延長され、日本社会への融和の判断も丁寧になりました。直近数年分の納付を期限内に続け、交通違反などがない状態で申請します。
Q. 帰化と永住、どちらがよいですか。
A. 本国の国籍を維持したいなら永住、日本国籍を取得して選挙権や日本のパスポートを得たいなら帰化です。本国での財産や家族との関係も考慮します。
Q. 帰化すると本国の国籍はどうなりますか。
A. 原則として失います。自動的に失う国と、国籍離脱の手続きが必要な国があります。
Q. 日本語ができなくても帰化できますか。
A. 実務上、小学校低学年程度の読み書きが求められます。面談で確認され、筆記テストがあることもあります。
Q. 帰化の審査にどのくらいかかりますか。
A. 8か月から1年以上です。申請中も配偶者ビザの更新は必要です。
Q. 子も一緒に帰化できますか。
A. できます。親の帰化と同時に申請するか、親の帰化後に子を申請します。子の国籍は自動的には変わりません。
日本人の配偶者の帰化申請は当法人にご相談ください
当法人は、日本人の配偶者の帰化申請を多く扱っています。2026年4月の運用見直し後の要件の確認、帰化と永住(2026年10月改定)の比較、本国書類の取り寄せの案内、申請書類の作成、法務局の面談の準備まで対応します。帰化と永住のどちらを選ぶか迷っている方は、無料相談でお聞かせください。
