短期滞在で来日中に日本人と婚姻した場合、配偶者ビザへの変更は原則として認められていません。入管法は、短期滞在からの変更は「やむを得ない特別の事情」がある場合に限ると定めています。 ただし、実務では、婚姻して同居を始めているなどの事情があれば、変更申請が受理され、許可に至ることがあります。 この記事では、原則不可の理由、受理される事情、受理後の審査、在留期限との関係、帰国して認定申請する場合との比較を解説します。
原則として変更できない理由
出入国管理及び難民認定法第20条第3項は、短期滞在の在留資格からの変更について、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないと定めています。短期滞在は観光や訪問のための一時的な滞在を前提としており、来日後に長期の在留資格に切り替えることを想定していないためです。
この規定により、短期滞在で来日して婚姻しただけでは、変更申請は原則として受理されません。来日前から婚姻の予定があった場合は、本来は海外から配偶者ビザの認定証明書交付申請をすべきだったと判断されます。
やむを得ない特別の事情として受理される場合
実務上、次のような事情がある場合は、変更申請が受理されることがあります。受理は許可を意味しませんが、受理されれば審査に進めます。
- 短期滞在中に婚姻し、日本で同居を始めている
- 妊娠しており、帰国して再来日することが身体的に負担
- 日本人配偶者の病気や介護など、帰国できない家庭の事情がある
- 帰国して認定申請をすると、夫婦が長期間離れることになり、生活に支障が出る
受理されやすいのは、「婚姻届を提出済みで、同居の実態が始まっている」場合です。逆に、婚約の段階や、婚姻届を出していない段階では受理されません。
受理されるかは入管の窓口での判断になるので、申請前に当法人にご相談ください。地方の入管によって運用に差があります。
受理された後の審査
受理されると、通常の配偶者ビザと同じ審査が行われます。
- 婚姻の実態(交際の経緯、同居の状況)
- 生活の安定(日本人配偶者の収入、住居)
- これまでの在留状況
加えて、短期滞在からの変更では、「来日の目的が本当に短期滞在だったか」が確認されます。来日前から婚姻と長期滞在の予定があったのに短期滞在で入国した場合、入国目的の偽りとされ、不許可の理由になります。
来日前に婚姻の予定がなかった、または予定はあったが滞在中に事情が変わって婚姻に至ったことを、質問書で説明します。来日前のやり取りの記録と一致する説明にします。
在留期限との関係
短期滞在の在留期間は15日、30日、90日のいずれかです。変更申請は在留期限内に行う必要があります。期限内に申請すれば、審査中は在留期限が過ぎても、審査結果が出るまで(最長で期限から2か月)在留できます。
短期滞在で来日してから婚姻届を出し、戸籍に記載され、変更申請の書類を揃えるまでには時間がかかります。15日の在留期間では間に合わないことが多く、30日でも余裕はありません。在留期限から逆算して、婚姻届の提出と書類の準備を進めます。
在留期限内に申請が間に合わない場合は、短期滞在の在留期間更新を申請する方法がありますが、短期滞在の更新も「やむを得ない事情」が必要で、許可されるとは限りません。
査証免除国の場合
韓国、台湾、アメリカ、EU諸国などの査証免除国から来日した場合も、在留資格は短期滞在で、同じ規定が適用されます。査証免除で入国したからといって、変更が認められやすくなるわけではありません。
査証免除国の婚約者が来日して婚姻し、そのまま配偶者ビザへ変更を希望するケースは多くありますが、受理の判断は同じです。
帰国して認定申請する場合との比較
|
項目 |
短期滞在から変更 |
帰国して認定申請 |
|---|---|---|
|
受理 |
やむを得ない事情が必要 |
通常の申請として受理される |
|
審査期間 |
1〜3か月程度 |
1〜3か月程度(加えて査証取得と来日に数週間) |
|
離れて暮らす期間 |
なし |
帰国から来日まで3〜5か月程度 |
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不許可時の影響 |
出国準備の特定活動に変更され、帰国が必要 |
海外にいるので在留への影響なし |
|
在留期限の制約 |
短期滞在の期限内に申請が必要 |
なし |
変更申請が受理されるかどうか不確実で、受理されても不許可のリスクがある場合は、帰国して認定申請をするほうが確実です。一方、受理される見込みが高く、離れて暮らす期間を避けたい場合は、変更申請を選びます。
どちらを選ぶかは、婚姻と同居の実態、在留期限までの日数、入管の運用を踏まえて判断します。
変更が不許可になった場合
変更申請が不許可になると、出国準備のための特定活動(30日または31日)に変更されることが多く、その期間内に帰国します。帰国後、配偶者ビザの認定証明書交付申請をします。
不許可の理由が「短期滞在からの変更のやむを得ない事情が認められない」であれば、帰国後の認定申請では問題になりません。不許可の理由が婚姻の実態や生活の安定であれば、認定申請でもその点を補強する必要があります。
申請の進め方
変更申請を選ぶ場合、次の順で進めます。
- 在留期限を確認し、スケジュールを立てる
- 婚姻届を提出し、戸籍に婚姻を記載する
- 同居を始め、住民登録をする(短期滞在でも、婚姻後は同居の実態を示せる)
- 変更申請の書類を揃える(通常の配偶者ビザの書類に加え、やむを得ない事情を説明する文書)
- 在留期限内に入管に申請する
やむを得ない事情を説明する文書には、来日の経緯、滞在中に婚姻に至った事情、帰国して認定申請をすることが困難な理由を書きます。
よくある質問
Q. 観光で来日中に結婚しました。そのまま配偶者ビザに変えられますか。
A. 原則として変更できませんが、婚姻して同居を始めているなどの事情があれば受理されることがあります。在留期限内に申請する必要があるので、早めにご相談ください。
Q. 受理されれば許可されますか。
A. 受理は審査に進めることを意味し、許可とは別です。受理後は通常の配偶者ビザの審査に加え、来日目的の確認が行われます。
Q. 最初から結婚するつもりで短期滞在で来日しました。
A. 来日目的の偽りとされ、不許可の理由になります。この場合は、帰国して認定申請をするほうが確実です。
Q. 在留期限まで10日しかありません。
A. 婚姻届の提出と戸籍への記載、書類の準備が間に合うかを確認します。間に合わない場合は、帰国して認定申請をします。
Q. 査証免除国から来ました。変更しやすいですか。
A. 同じ規定が適用されるので、変更しやすくなるわけではありません。
Q. 不許可になったら、帰国後の申請に影響しますか。
A. 不許可の理由が短期滞在からの変更要件であれば、帰国後の認定申請には影響しません。
短期滞在中の婚姻と配偶者ビザは当法人にご相談ください
当法人は、短期滞在で来日中に婚姻した方の配偶者ビザ申請を多く扱っています。変更申請が受理される見込みの判断、在留期限から逆算したスケジュールの設計、帰国して認定申請をする場合の準備まで対応します。在留期限が迫っていることが多いので、婚姻を決めた段階で無料相談でお聞かせください。
