就労ビザで在留中に日本人と結婚しても、配偶者ビザへの変更は義務ではありません。就労ビザのまま在留を続けることもできます。 配偶者ビザに変更すると、就労の制限がなくなり、永住申請の居住要件が緩和されます。一方、婚姻の継続が在留の前提になるので、離婚した場合の影響があります。 この記事では、変更する場合としない場合の違い、判断の基準、変更申請の進め方を解説します。
変更は義務ではない
日本人と結婚しても、現在の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、技能、経営・管理、高度専門職など)はそのまま有効です。在留資格は、本人の活動内容に合っていれば維持できるので、結婚後も同じ仕事を続けるなら、就労ビザのままで問題ありません。
配偶者ビザへの変更は、本人が希望する場合に申請します。どちらの在留資格が自分の状況に合うかで判断します。
配偶者ビザに変更するメリット
就労の制限がなくなる
就労ビザは、在留資格ごとに認められた活動の範囲内でしか働けません。技術・人文知識・国際業務であれば、学歴や職歴に関連する専門的な業務に限られ、単純労働や飲食店のホール業務などはできません。
配偶者ビザには活動の制限がないので、どのような仕事にも就けます。転職の自由度が上がり、起業、アルバイト、複数の仕事の掛け持ちも可能です。
転職・退職時の在留が安定する
就労ビザは、退職すると在留資格の活動を行っていない状態になり、3か月以上続くと在留資格取消しの対象になります。転職先が見つかるまでの期間、在留の不安を抱えることになります。
配偶者ビザは、婚姻の継続が在留の根拠なので、退職しても在留に影響しません。
永住申請の居住要件が緩和される
永住許可の居住要件は、原則として引き続き10年以上の在留(うち就労資格で5年以上)です。日本人の配偶者の場合、実体のある婚姻が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していれば、10年の要件が免除されます。2026年10月1日改定の永住許可ガイドラインにより、2027年4月1日以降の申請では、婚姻5年以上かつ在留3年以上に引き上げられます。
就労ビザのままでも日本人の配偶者であれば同じ緩和が適用されるとする解釈もありますが、実務上は配偶者ビザで在留していることが前提とされることが多いので、永住を早く取りたい場合は配偶者ビザへの変更を検討します。
なお、改定後は現在の在留資格で最長の在留期間(5年)を持っていることも原則として必要です。配偶者ビザに変更すると在留期間は1年から始まることが多いので、永住の時期を考えるときは、変更後に3年・5年を取るまでの期間も含めて見積もります。
在留期間が長くなる可能性
就労ビザの在留期間は、1年、3年、5年のいずれかで、勤務先の規模や在留状況で決まります。配偶者ビザも同じですが、婚姻の実態が安定していれば、3年や5年が出やすくなる傾向があります。
配偶者ビザに変更するデメリット
婚姻の継続が在留の前提になる
配偶者ビザは、日本人との婚姻が在留の根拠です。離婚や死別で婚姻が終わると、在留の根拠がなくなり、6か月以上配偶者としての活動をしていないと在留資格取消しの対象になります。定住者への変更や就労ビザへの再変更が必要になります。
就労ビザのままであれば、離婚しても在留に影響しません。
更新時に婚姻の実態が審査される
配偶者ビザの更新では、婚姻の実態(同居、生活)が毎回審査されます。別居や夫婦関係の変化があると、更新に影響します。就労ビザの更新では、勤務の継続と収入が中心で、婚姻の状況は審査されません。
変更申請の手間と費用
変更申請には、婚姻の実態を示す資料の準備と手数料がかかります。手数料は2026年10月1日から許可される在留期間に応じた額(1年33,000円、3年64,000円、5年75,000円)になりました。就労ビザのままなら、この手間と費用はありません。
判断の基準
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状況 |
向いている選択 |
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転職や起業を考えている、業務の範囲を広げたい |
配偶者ビザに変更 |
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永住を早く取りたい |
配偶者ビザに変更 |
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現在の仕事を続け、在留資格の活動に合っている |
就労ビザのまま |
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結婚直後で、婚姻の実態の立証がまだ薄い |
就労ビザのまま更新し、実態が積み上がってから変更 |
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高度専門職で優遇措置を受けている |
高度専門職のまま(永住要件はさらに短い) |
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配偶者ビザへの変更申請が不許可になった場合の備え |
就労ビザの期限内に変更申請する |
多くの場合、変更するメリットのほうが大きいですが、現在の仕事が安定していて転職の予定がなく、永住も急がない場合は、就労ビザのままで差し支えありません。
変更申請の進め方
申請のタイミング
就労ビザの在留期限内であれば、いつでも変更申請できます。期限内に申請すれば、審査中は就労ビザの在留が続きます。変更が不許可になった場合も、就労ビザの期限内であれば就労ビザのまま在留できるので、期限に余裕を持って申請します。
就労ビザの更新時期と重なる場合は、更新ではなく変更申請をします。変更が許可されると、新しい在留資格と在留期間が付与されます。
必要書類
- 在留資格変更許可申請書
- 写真
- パスポート、在留カード
- 日本人配偶者の戸籍謄本(婚姻の記載があるもの)
- 住民票(世帯全員)
- 日本人配偶者または本人の在職証明書、課税証明書、納税証明書
- 質問書
- 二人の写真、交際の記録
- 身元保証書
就労ビザで在留中の変更申請は、本人に収入があるので、生活の安定の立証は進めやすくなります。本人の収入で生計を維持する場合は、本人を生計維持者として申請できます。
審査で見られる点
通常の配偶者ビザの審査と同じで、婚姻の実態、生活の安定、在留状況が見られます。就労ビザでの在留中の状況(納税、資格外活動、届出義務の履行)も確認されます。
変更後の就労
配偶者ビザに変更すると、現在の仕事をそのまま続けられます。勤務先に在留資格の変更を伝え、在留カードの写しを更新してもらいます。就労ビザで必要だった所属機関に関する届出は、配偶者ビザでは不要になり、代わりに配偶者に関する届出(離婚・死別時)の義務が生じます。
結婚後の届出
配偶者ビザに変更しなくても、日本人と結婚した事実は、住民票の世帯や続柄に反映されます。入管への届出は、就労ビザのままであれば不要です。配偶者ビザに変更した後に離婚や死別があった場合は、14日以内に配偶者に関する届出を提出します。
よくある質問
Q. 日本人と結婚したら、配偶者ビザに変えなければなりませんか。
A. 義務ではありません。就労ビザのまま在留を続けられます。変更するかは、就労の自由度、永住の時期、離婚時のリスクで判断します。
Q. 配偶者ビザに変えると、今の仕事は続けられますか。
A. 続けられます。配偶者ビザには活動の制限がないので、現在の仕事も、他の仕事もできます。
Q. 永住を早く取るには変更したほうがよいですか。
A. 日本人の配偶者としての居住要件の緩和を確実に受けるには、配偶者ビザへの変更を検討します。ただし2027年4月1日以降の申請は婚姻5年以上かつ在留3年以上が必要で、最長の在留期間(5年)も原則として求められます。高度専門職の場合は、高度専門職のままのほうが永住要件が短いことがあります。
Q. 変更が不許可になったら、就労ビザはどうなりますか。
A. 就労ビザの期限内であれば、そのまま在留できます。期限に余裕を持って申請することを勧めます。
Q. 離婚したら配偶者ビザはどうなりますか。
A. 婚姻が終わると在留の根拠がなくなります。定住者への変更や就労ビザへの再変更を検討します。就労ビザのままなら離婚の影響はありません。
Q. 結婚直後に変更したほうがよいですか。
A. 婚姻の実態の立証が薄い時期に申請すると、審査が丁寧になります。同居の実態が積み上がってから申請する選択もあります。
就労ビザから配偶者ビザへの変更は当法人にご相談ください
当法人は、就労ビザで在留中に結婚した方の在留資格の選択と変更申請を多く扱っています。変更するかどうかの判断、申請のタイミング、永住申請を見据えた設計まで、状況に合わせて提案します。どちらの在留資格が合うか迷っている方は、無料相談でお聞かせください。
